蓼科の今

大隅流の建築(その2)~茅野市周辺地域

2017.01.17

こんにちは。本日のブログ担当の岩下です。今朝8時の気温は-8℃、天候は晴れ、積雪はタウンセンター周辺で3センチ、標高の高いあかまつ台方面ではもう少し積もったようです。

江戸時代後期以降、諏訪地方の社寺建築・彫刻界では、大隅流一門と立川流一門がその腕を競っていました。
先月、茅野市内で見られる大隅流の社寺をご紹介しましたが、今回はその周辺地域に現存する建築物をご紹介しましょう。


 前回のブログはこちら


【慈雲寺山門】(諏訪郡下諏訪町東町中)

1-1.170102慈雲寺1.jpg        1-2.170102慈雲寺山門拡大.jpg       1776(安永5)年、伊藤(村田・柴宮)長左衛門矩重(のりしげ)によるもので、下諏訪町重要文化財に指定されています。山門正面の玉を翳す龍の彫刻が印象的です。


【諏訪大社春宮幣拝殿・左右片拝殿】(下諏訪町大門)

2.170102春宮幣拝殿全景.jpg        2-2.170102春宮拡大.jpg       1779(安永8)年、伊藤長左衛門矩重の建築で、国重要文化財に指定されています。建物全体に、龍など様々な彫刻が施されています。


【乙事十一面観音堂】(諏訪郡富士見町乙事)

3-1.170102乙事十一面観音堂全景.jpg       3-2.170102乙事.jpg      1783(天明3)年、改築の際に、伊藤長左衛門矩重が彫刻を担当したとの記録が残っています。


【水上布奈山(みずかみふなやま)神社本殿】(千曲市戸倉)

4-1.170102布奈山神社全景 .jpg                    4-2.170102布奈山神社拡大.jpg    1789(寛政元)年、伊藤長左衛門矩重の作で、国重要文化財に指定されています。冒頭の写真を含め22ヶ所に及ぶ精緻な彫刻は、「竹林の七賢人」「蘇鉄に兎」などテーマも豊富で見ごたえがあります。


【岩久保観音堂】(諏訪市四賀)

5-1.170102岩久保観音堂全景.jpg      5-2.岩窪観音堂拡大.jpg    1793(寛政5)年、現在地に移転する際、伊藤長左衛門矩重が棟梁となり建立されました。上り龍・下り龍や獅子など多くの彫刻を見ることができます。なお、当お堂の欄間が諏訪市博物館に展示されています。


【足長神社拝殿・舞屋】(諏訪市四賀普門寺)

6.-1足長神社全景.jpg                    6-2.足長神社拡大.jpg      拝殿は1843(天保14)年、二代矢崎善司、伊藤安兵衛、舞屋は1862(文久2)年、石田房之進、矢崎林之丞、外村の大工達によるものです。


伊藤家・村田家は江戸時代、諏訪藩の御破損方(作事方)を務め、高島城など藩の建築を手掛けていました。その中で図面などによらない技の伝承が、現在まで続いています。
今回紹介した以外にも、諏訪郡内や安曇・伊那地方、群馬県などで、一門の数多くの建築・彫刻を見ることができます。
お越しの折に、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

 



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