蓼科の今

基準点のはなし(その2)

2017.08.15

こんにちは。本日のブログ担当の岩下です。今朝8時の気温は19℃、天候は小雨となっております。今日の諏訪湖花火大会を楽しみにされている方も多いと思いますが、お天気が心配ですね。

前回この欄で、三角点などの基準点についてご紹介しました。今回はその続編として、基準点にまつわるもう少しマニアックな話題を紹介しましょう。


 前回のブログ「基準点のはなし」は、こちら

【点の記】

170802写真1.JPG     2009年(平成21年)6月20日に、映画「劒岳 点の記」(原作、新田次郎)が公開されました。内容は、明治時代末期、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)によって、飛騨山脈(北アルプス)の立山連峰で行われた山岳測量プロジェクトを扱ったものです。
 「点の記(てんのき)」とは、基準点(三角点・水準点など)の設置・測量の記録のことです。東急リゾートタウン蓼科の入口付近にある二等三角点(標高1193.19m)にも、「点の記」はあります。国土地理院のホームページでユーザー登録をすると閲覧することができます。


【御料局三角点】(料の旧字は米へんに斤・升など、点の旧字は點)

170802写真2.jpg      双子山

170802写真3.jpg      硫黄岳

170802写真4.JPG      阿弥陀岳三角点

1885年(明治18年)、宮内省に皇室の所有地を管理する御料局がおかれ、皇室の領地は御料地と公称されました。その中にある御料林は、大部分が1889、90年(明治22、23年)に官林から移管されたものですが、境界や面積が不正確であったため、測量により確定作業が行なわれました。第二大戦後、御料林は農林省山林局所管の国有林と統合され、同林野局に移管されました。
 御料林は日本の屋根であり銘木を産する木曽、赤石、御嶽山、八ヶ岳の各山域に広がっていたので、これらの地域の登山では、御料局三角点をよく目にします。写真は上から双子山、硫黄岳、阿弥陀岳のものです(峰の松目にもあるとか)。


【天測点】

170802写真5.JPG      髻山天測点

天測点とは天文測量を実施するために設けられた基準点です。四角柱や八角柱などのコンクリート製の台で、通常はその真北、あるいは真南に子午線標という同様の台が設置されています。同じ敷地内に一等三角点があり、三角測量で求められた位置座標を天文測量によって補正しました。
 天測点は全国48箇所に設置され、1954年(昭和29年)から5年間観測が行われましたが、その後は測定機器の改良により、用いられることはなくなりました。
 写真は長野市と飯綱町の境界にある、髻山 (もとどりやま)山頂に設置されている天測点です。


【第Ⅷ系測量原点】

170802写真6.JPG      第Ⅷ系測量原点

地球は球体なので、これを平面の地図に広げると、周辺ほどひずみが大きくなります。このため日本を19の区域に分けて、それぞれの平面直角座標系の原点が設置されています。
 長野県、新潟県、山梨県、静岡県が属する第Ⅷ系の公共測量の原点は、八ヶ岳東麓の南牧村にあります。東日本大震災などに伴う地殻変動で東に25.7cmずれたため、本来の原点を示すガラス製の標識が重ねて設置してあります(写真)。


【道路元標】

170802写真7.JPG      金沢村道路元標

基準点ではありませんが、道路の基点(起点・終点)を示す道路元標というものがあります。1919年(大正8年)に制定された道路法施行令で、「道路元標ハ各市町村ニ一箇ヲ置ク」と決められました。当時の全市町村に設置されたので、北山村にもありました。
 写真は金沢村の道路元標で、国道20号金沢交差点(金鶏の湯入口)の甲州街道本陣跡にあります。


今回ご紹介したような、"変わり種"基準点を探して散歩してみるのも面白いのではないでしょうか。


 



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