蓼科の今
2018.09.28
こんにちは。本日のブログ担当の岩下です。今朝8時の気温は9℃、天候は晴れとなっております。
皆様は、昨年から新聞等で話題となっている、"チバニアン"という言葉をご存知でしょうか。
今から46億年前に地球が誕生してから現在までの間を地質時代といい、生物の進化や大規模な気候変動などのトピックスによって、地質年代が区分されています。それぞれの下限(はじまり)は、その境界が最もよく観察できる場所で定められていますが、まだ名前の付けられていない年代もあります。
そのうち新生代第四紀中期更新世については、千葉県の養老川に露出している地層(冒頭の写真)が候補に挙がっており、現在、国際機関で検討中です。審査は4段階あり、まだ最初の段階ですが、順調に進めば、来年の今ごろは中期更新世について、世界中で"チバニアン"と呼ばれているかもしれません。
ところで、諏訪地方では"チバニアン"(中期更新世の地層)は、どこにあるのでしょうか。
この写真は東急ハーヴェストクラブ蓼科から望む八ヶ岳のパノラマですが、じつはこの写っている範囲の地表に分布している地層のほとんどが"チバニアン"なのです。
ビーナスラインから国道299号(メルヘン街道)付近に広がる蓼科中央高原一帯には、蓼科高原溶岩が分布しています。長野県デジタル地質図2015によれば、これが"チバニアン"に区分されています。また、硫黄岳から南の八ヶ岳稜線の岩峰と、その東西に広がる雄大な裾野を構成する地層も、"チバニアン"です。
横谷峡乙女滝の入口付近の切り割りでは、溶岩層をよく観察することができます。
(落石の危険がありますので、あまり露頭(地層の出ている崖)に近づかないほうがいいでしょう。)
ちなみに、東急リゾートタウン内の道路沿いで見られる溶岩層(八子ヶ峰火山岩類)は、ひとつ前の時代、前期更新世の地層です。
国道299号(メルヘン街道)の糸萱大橋付近から下の台地を川が侵食してできた崖には、八ヶ岳から繰り返し流れてきた火砕流堆積物や土石流堆積物が露出しています。
火山の雄大な裾野は火山麓扇状地といいますが、この地形はこれらの堆積物からできています。
千葉県の申請地(田淵露頭)では、前期更新世と中期更新世の境界に火山灰層が挟まれています。
これは白尾(びゃくび)火山灰層と呼ばれ、約77万年前に御嶽山の初期の噴火によって広域的に堆積したものです。思わぬところで長野県と千葉県の地層がつながっていたのですね。
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