蓼科の今
2019.12.03
こんにちは。本日のブログ担当の岩下です。今朝8時の気温は-1℃、天候は晴れとなっております。
諏訪地方には、諏訪ゆかりの文人の文学碑や歌碑がたくさんあります。
今回は「富士見公園」(諏訪郡富士見町)をご紹介しましょう。
この公園は、1879年(明治12年)に地元の方々がつくった小公園を、1911年(明治44年)に村が再整備したものです。
園内には多くの歌碑や句碑が配置されており、それぞれに解説も付けられています。
【伊藤左千夫】
寂志左乃極尓堪弖天地丹寄寸留命乎都久都九止思布
(淋しさの極みに堪て天地(あめつち)に寄(よ)する命をつくづくと思ふ)
明治の歌人、伊藤左千夫は10回ほど信州を訪れており、特に富士見、蓼科高原を愛したそうです。1904年(明治37年)に諏訪の歌会に出席して以来、多くの歌人と交流を深め、島木赤彦とも交友関係にありました。
富士見公園は左千夫が設計したものです。
没後の1922年(大正11年)、アララギ派の同人や地元有志により、この碑が完成しました。碑文は、島木赤彦の書によるものです。
【島木赤彦】
水海之冰者等計而尚寒志三日月乃影浪爾映呂布
(みづうみの氷は解けてなほ寒し三日月の影波にうつろふ)
島木赤彦は諏訪湖を見下ろす地に住み、諏訪の景観を詠みつづけ、数々の名歌を残しています。
1937年(昭和12年)、13回忌にあたって、歌碑が建立されました。
碑文は、赤彦の代表作を斎藤茂吉が書いています。
毎年、碑前祭に始まる「赤彦祭」は、今も80回を超え続けられています。
【斎藤茂吉】
高原尓足乎留而目守良無加飛騨乃左加比乃雲比曽武山
((高原(たかはら)に足をとどめてまもらむか飛騨のさかひの雪ひそむ山)
斎藤茂吉は、赤彦とともに「アララギ」の編集や発展につくしました。療養のため富士見に滞在し、多くの作品を残しています。
歌碑は13回忌となる1965年(昭和40年)に建立されました。碑文は、本人の書によるものです。
その他にも、公園内には、森山汀川、松尾芭蕉、名取松丘、丸山ゝ山などの歌碑、句碑があります。
富士見駅近くの「富士見高原のミュージアム」にも、富士見に集った文人、詩人、画家たちの展示がありますので、ぜひ足をお運びください。
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