蓼科の今

かいこのかみさま

2022.04.06

こんにちは。本日のタウンセンターブログ担当岩下です。今朝8時の気温は7℃、天候は曇りとなっております。

 諏訪地方は山がちな土地で、古くから桑を植え、養蚕と共に生糸の生産が行われてきました。
 明治以降は生糸生産の機械化が進み、昭和の初めまでは大規模な工場が立ち並ぶ一大産地でした。
 養蚕業は大きな収入をもたらす一方、桑の木が遅霜被害にあって枯れたり、気温や湿度が原因で蚕に病気をもたらすなど苦労も多かったようです。
このため、明治以降、養蚕業に携わる人々のあいだで"蚕霊(こだま)"信仰が広がっていきました。

1.220401かいこのかみさまチラシ.jpg
岡谷蚕糸博物館ではいま、企画展「かいこのかみさま」が開催されています。会期は5月15日までです。お札や掛け軸、道端にある石造物など、中にはユーモアあふれる姿もあります。ぜひご覧ください。

 岡谷蚕糸博物館ホームページ 

 さて、今回のブログでは、蓼科周辺に残る「かいこのかみさま」をご紹介しましょう。

2.220401馬鳴菩薩.JPG

馬鳴菩薩
茅野市米沢埴原田地区千鹿頭神社境内にある蚕玉神社には、右手に桑の枝、左手に籠に入れた繭を持つ蚕の神様「馬鳴(めみょう)菩薩」がまつられています。
 蓼科からビーナスラインを下り、ザ・ビッグの手前左手の橋近くの森です。

3.220401北大塩石仏.JPG

北大塩石仏
茅野市米沢北大塩地区、大清水水源地近くの斜面には、蠶玉神社と記した石台の上に載った石仏があります。
 柔和な表情に心が和みます。

4.220401蚕霊神社.JPG

蠶霊神社
茅野市宮川区安国寺の御柱屋敷近くには、蠶霊神社があります。
 江戸時代中期以降、当時の安国寺村では養蚕が盛んになりました。各組には「こだまさま」と呼ばれる講があり、よい蚕が育つようお祈りをしたり、秋繭が取れた後にお祝いをしていたそうです。

5.220401蚕安塔.JPG

蚕安塔
諏訪市四賀桑原にある仏法紹隆寺境内には、1937年(昭和12年)に製糸業片倉家や地元農家の寄付で建てられた蚕安(こやす)塔があります。江戸時代からの名工グループ、大隅流の大工による木造建築で、内部には繭や蚕を描いた天井画や養蚕の神様である「馬鳴菩薩像」が納められています。
 現在、諏訪地域で唯一養蚕を営む茅野の農家が、昨年秋にこの塔で蚕供養を行ったそうです。

養蚕の歴史は古く、古事記の時代まで遡ります。茅野市内では、この他にも20箇所ほどの神様が知られています(下記文献より)。
 蓼科へお越しの際は、かいこのかみさまを巡ってみてはいかがでしょうか。

 文献:小野川恵美子(2019)諏訪の蚕神(3版)

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