蓼科の今
2024.08.18
夏休みも後半
皆様、夏の思い出はたくさんできましたか?
まだ足りない方は蓼科へ是非是非。
高原ならではの爽やかな夏を満喫しに来てくださいませ^^
さてさて
歴史はロマンである。とは誰の言葉だったか...
史実を重視すればロマンとは程遠い生々しい現実の積み重ねが
「歴史」なわけですが、
一方で歴史の各局面に不思議なロマンを感じるからこそ、
「歴史」が面白いのもまた事実
本日はちょっとだけロマンに触れてみましょうか...。
あ、事前にお詫びを...
今回長いです、すいません。
何なら2回分のボリュームを削り、纏めてもこの長さ...。
お時間のある時に苦笑しながら流し読みして頂ければ幸いに存じます。
はい。
先だってブログにて、
健康長寿を「試される」驚異の階段200段をもつ北斗神社
元禄の世論の波に巻き込まれた悲運の藩主吉良義周が埋葬された、
廃仏毀釈の波にのまれた法華寺(波にのまれまくりですな...)
ちょっとロマンを感じる二つの宗教施設のお話に触れてみたわけですが、
今回はその法華寺を出発して
諏訪湖のほとりのとあるお寺をご紹介したいと思います。
と、その出発の前に...。
なんと、法華寺にはかの武田信玄を祀る石碑がひっそりと存在するとか...。
むむ、これは探しておかなければ。
ということで、道なき道をかきわけ、急峻な土手を這い上り、
見つけてまいりました!
いや...ひっそりにもほどがある...(苦笑)。
案内もろくになく、本当に忘れ去られた小さな石碑...
戦国時代最強と恐れられた武田信玄の石碑、記念碑は各所にありますし、
多くの人から尊敬の思いと共に大切にされているわけですが、
この諏訪の地に武田信玄を祀る場所がないことにもある種の違和感を覚えますし、
やっと見付けた石碑がこのような姿だったことにも何となく
切なく心を揺さぶるものを感じます...。
まぁ、深い歴史ある諏訪からすれば、武田信玄は「侵略者」ですしね
しかしその一方武田信玄ご本人からすると、ほかの侵略併合していった地域と比べ
諏訪には特別な思い入れがあったような気がしなくもない。
というわけで今回の御紹介したい場所へ...
......。
う~む...、
200段の健康確認試練をクリアし、
草木をかき分け信玄公の慰霊碑を探した上に更に自らの意思を試されるとは...
ここはもちろん...急坂は回避(いやもうこの日は膝が既に大爆笑してましてね)
とは言え高台にある目的地へは楽たどり着けるわけもなく...
汗をかきつつようやくたどり着きましたこちら
小坂観音院というお寺ですね。
はい、以前タウンセンタースタッフ某さまからの華麗なるパスを受けまして、
実は今回訪問してまいりました次第^^;
いや、普段からお世話になっている方からのパスですもの
汗をかこうが、膝が笑おうがなんのそのでございます。
実はこちらのお寺、あじさいも有名なのですが、
その他、諏訪御寮料人の供養塔があることでも知られております。
諏訪御料人?
諏訪家のお姫様で、武田信玄の側室となり四郎勝頼を生んだ方ですね
この女性も歴史の濁流に飲まれ運命を翻弄された方
武田家侵攻により歴史深い諏訪家は滅ぼされ、
諏訪家の姫であった彼女は信玄の側室となり、
四郎勝頼の母となり、
そして病により25歳という若さで夭折したわけですが、
そんな彼女は、いわゆる歴史小説、物語の中
井上靖先生の小説「風林火山」で「由布姫」、
新田次郎先生の「武田信玄」では「湖衣姫」として
その悲劇の濁流の中で、武田信玄(晴信)から愛され、
戸惑いつつも心を開いていく様子が描かれています。
病に冒されつつも最後は穏やかな日々を送り、
静かにそのか細い人生を閉じる少し悲しい歴史物語の欠片ですね。
一方の武田信玄。
武田信玄が自分の死を秘匿するために埋葬地として指定したのが
諏訪湖というお話は有名ですよね。
ちなみに武田信玄の死の秘匿については、
近隣の敵対勢力に知らせないように、ではなく、
恐らくは武田家の支配地域の家臣団豪族の
動揺を避けるためだったのではないかと私は考えております。
地方豪族の集合組織、
いうなれば、ユナイテッドステイツof武田家においては、
その綱渡りのような結束こそが戦国最強集団である事の
理由の一つであったわけですから、
その結束がほころぶ要因は、それが自分の死であったとしても
その事実は秘匿し、不安材料を排除したかったのでしょう。
...が、
由布姫の郷でもある諏訪。
その湖に自らのなきがらを沈めてほしいという、
戦国期最強と謳われた武田信玄が最後に願ったその思いは、
ひょっとしたら私がいま述べた無粋な考察よりも、
もっとセンチメンタルで、ロマンチックなものであったと
信じる方が、少しだけ心豊かになるのかもな...。
鮮やかなパスを受け、暑さと疲労に押しつぶされそうになりながら
その由布姫の慰霊碑に無事お参りを果たし、
小坂観音院本堂を背に前を向いたとき、
その見えた景色に思わずため息が漏れました。
そうですよね、井上靖先生、
この小坂観音院に由布姫がいたとしてあげたほうが、
病に冒されながらも、穏やかな時間をここで晴信と過ごしていた
としてあげたほうが、
諏訪において記念碑もろくにないほどに嫌われていた武田信玄が
それでも自分の亡骸を諏訪湖に沈めてほしいと、
最後に願ったその思いに、頷くことができますよね...。
諏訪湖のほとりの崖の上。
その本堂からは、山門を通して諏訪湖の水面が見えています。
戦国時代
侵略やだまし討ち、領土拡大や滅亡
そんな物々しい事実が交錯する「史実」の傍らに、
こんな「ロマン」があってもいいような気がします。
何度も読んだ井上靖先生や新田次郎先生の物語ですが、
もう一度読んで見ようかな。
そんな気持ちにさせてもらえた休日の一幕でございましたとさ。
本日のブログは、多忙と疲労で筆が進まないくせに、
書かずにいられないボリュームの素材に果敢にも挑んだ結果
生みの苦しみを味わい、少しだけ井上靖先生や新田次郎先生の気持ちがわかる
とトンチンカンな勘違いをしかけている兵藤がお送り致しました。
「先生、原稿はまだですかっ!!(怒)」
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